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仏在住ライターのパリな日常

2009年3月の記事一覧

夏時間とともにやってきたもの

3月29日日曜日、ヨーロッパは夏時間になりました。

この日は午前1時59分59秒の1秒後が、午前3時0分0秒になります。

29日の朝、起きるやいなや時計の針を1時間遅らせて、……7時に起きたはずが、もう8時。
とたんに朝寝坊気分です。

家族の起きだす音に、ぐぐっと伸びるテト。

おひさまいっぱい、ぽかぽかモードのこんな朝、まさにおあつらえ向きの出来事がありました。
ミニウサギのスピド君が、我が家のメンバーに仲間入りです。

次女の美奈は、4月23日に9歳の誕生日を迎えます。そのプレゼントにリクエストされたのがミニウサギ。

うちにはすでに猫のテトがいるので、親としてはちょっと悩んだのですが、「麻衣子にはテトをあげたのに、美奈のお願いは何も聞いてくれない!」と言われてしまえば、決心しないわけにはいきません。
善は急げ!で、誕生日を待たず3月28日土曜日に買いに行った、というわけです。

子供部屋をのぞくと……
おお!いい感じで、スピドと美奈が遊んでいます。

満足げな美奈の顔。やっぱり、スピドが来てくれてよかった!

心配していたテトはというと……

完全にふてくされて、ベッドの下にたてこもっていました。
今まではルブラン家の関心を一身に集めるスターだったのに、思いもよらぬこの変化が気に入らないようです。

「どれどれ、テト、スピドを見に行くか」と、パパ登場。

いたずらをしないといいけど……

何せ猫。

動くものを見れば、飛びかかるのが本能というものです。

悲惨な結果だけはごめんです。(考えるのもおそろしい!!)

テトはやっぱり、この侵入者が気になる様子。

飽きることなく、ひたすら、じっと、巣箱の入り口を見つめ続けるテト。
「猫の正座」をし、ずいぶん真剣な面持ちです。

几帳面に足をそろえ、背筋を伸ばし、ぐっとあごを引き、さらにしっぽでくるりと足元を巻く。

これが「猫の正座」。(角野案ですが)

テト 「ややっ!」(左前足じりじりっ)
美奈&麻衣子 「ああー、すぴどー、出てきたねー!」

てっちゃん(テトです)に注意しながら、またベッドに連れ出して一緒に遊ぶ二人。

猫と違って、勝手に逃げていかないし、かわいいねー。
と、ご満悦状態もつかの間、この後掛け布団の上に大きなおしっこをされました。
ウサギがあんなに大量のおしっこをするなんて、皆さんはご存知でした?
コップ一杯のジュースをひっくり返したようでした。

美奈の誕生日は毎年、イースター休暇(今年は4月11~26日)の最中にあたります。

そうか!

今年のイースターは、チョコレートのウサちゃんじゃなくって、本物のウサギがやって来たんだ!

サマータイム始まりの日。窓の外はこんな感じです。

窓辺のタイム(うまい!)にも花が。

夏時間のメリットは、電気の節約とのこと。
日照時間の長い夏は、照明ではなく太陽の明かりを利用すればいい、と1784年にアメリカ人のベンジャミン・フランクリンが、パリの新聞で提唱したのが始まりなのだそうです。

実際に導入されたのは、1916年のドイツ。4月30日に実施され、同年5月21日にイギリスもこれに続きました。

フランスでは(調べたところを総合すると)、ドイツ占領下にあった地域が夏時間を実施していましたが、1946年から1976年の30年間は、全国的に廃止されていたのだそうです。

国内で起こる、時間の違いの混乱を回避することが目的でした。

それが1973年のオイルショックを受け、1976年の3月28日に再度導入され、現在に至る、

ということは、

夏時間の歴史は意外に浅いのですね。

おかげで、一番日の長い6月などは、夜中の11時近くでもにわかに空が薄明るい状態です。

テトもさすがに慣れた様子。よかったよかった。

美奈がスピドを選んだのは、てっちゃんと同じ色だから。

同じ色なら、仲間と思うはずだから。

名前のスピドは、スピードのこと。元気に駆け回るスピド君、どうぞよろしく!

春のマルシェ散策-後編

前回に引き続き、パリ郊外の街ル・ヴェジネのマルシェを、一緒に歩いてゆきましょう。

このスタンドはりんごの専門店です。6、7種類のりんごと、梨が3種類ほど、木のケースに入れたままざっくばらんに陳列されています。りんご畑の広がる丘陵地から、そのままここに届いたという感じ。
普通マルシェでは、お客さんは商品に手を触れず、店の人に選んでもらうものですが、このスタンドは自由に袋詰めをしてレジへもっていくスタイルのようですね。

パリに住み始めた頃、あちこちのマルシェでこんな専門のスタンドを見つけては、「食の国・フランス」を実感したものです。サラダ菜だけを扱う専門スタンドや、じゃがいもだけの専門スタンドがあるなんて、ちょっと想像できないですよね。
想像していただくために説明すると、じゃがいもの専門スタンドに並ぶじゃがいもの種類は、10やそこらではありません。AOCという産地呼称のついたブランドじゃがいもから始まって、ピューレ用、フライドポテト用、ソテー用、はたまた紫色のものなど、「じゃがいもってこんなに種類があったの?!」と、感心するやら驚くやらです。
りんごも、料理専用のものや、コンポートに最適なもの、ジューシーなもの、カリリとした食感のものなど、やはり種類が豊富です。
ちなみに、料理にはCanada、コンポートには boskoopがもっとも向いているといわれています。両方とも、火にかけるとすぐに崩れてくるので、あっというまにピューレ状になり、つぶす手間がかかりません。生で食べるとおいしくないのでご注意を。

りんごスタンドのお隣には、チーズがずらりと並んでいます。おなじみのカマンベールを先頭に、ざっと50種類は下らないでしょう。
ご存知の通り、フランス各地で生産されているチーズの数は、400近くにのぼると言われます。これも前回のソーセージ同様、その魅力にはまり込んでしまう食品です。今日は、カマンベールとシェーヴルをひとつずつ購入しました。各4,6ユーロです。
シェーヴルは非常に種類が多いのですが、白くてフレッシュなものはほど淡白で、かたく乾燥したものほど香も味も強くなる傾向があります。今回は、灰をまぶしたタイプを選びました。

包み紙がまた、とってもかわいらしい!一筆書き風のイラストで、フランス地図の上に各地のチーズが描かれています。白地にブルー。シンプル・イズ・ザ・ベストですね。
さてと、この先へ行くと……

ん?見覚えのあるパッケージ。
これはパリ左岸の高級デパート、ボン・マルシェの食品館「ラ・グランド・エピスリー・ドゥ・パリ」で販売しているフィナンシエではありませんか!
「味見はいかがですか?」
とすすめてくださるこの方がその製造者。今日は特別に、アトリエのあるブルターニュ方面からいらしたのだそうです。
La Moinerieラ・モワヌリーのフィナンシエ8種類と、メレンゲが5種類、ブルターニュの旗の上に並んでいます。新製品のメレンゲは1年前から製造しているそうで、「ラ・グランド・エピスリー・ドゥ・パリ」には、1ヶ月前から登場しているとのこと。フランボワーズ味を試食させていただくと……口の中ですーっと溶けてゆきます。

「僕らの地方には、すばらしいフランボワーズのシロップを作る職人がいて、そのシロップを使っているんです。ラ・モワヌリーはどのお菓子にも、着色料や保存料を一切使いません。メレンゲはオーガニックの認証を取得する予定です」

いつもはアトリエで作業をしている製造者が、こうして実際に売り場に立ち、お客さんとコミュニケーションをとっている。作る側にとっても、買う側にとっても、意義深いことに思えます。

さてその向かいは、うまい具合に紅茶とコーヒーのスタンド。コーヒー豆を挽く、いい香が漂っています。

店先に出したテーブルでは、マダムたちが休憩中。マルシェのあるところなら、どこでも必ず見る光景です。買い物ついでに友人に会うと、こうしてちょっと語らいあうのがフランスのライフスタイル、つまり伝統なのですね。マルシェの役割は、単なる買い物の場にとどまらないといえます。


1990年後半から、パリ市はマルシェの数を増やす政策を実施してきました。その結果、1860年に51箇所だったマルシェが、現在では95箇所(鳥市や花市なども含む)を数えています。都会に人間らしい活気と、コミュニケーションを取り戻す最良の手段として、マルシェに目をつけたに違いありません。
パリ市のサイトでは、全20区のマルシェ情報が掲載されています。右上ENをクリックすると英語版になります。
こちらは写真が豊富。パリの地図をクリックして、次にお目当ての区をクリックしてください。

そうそう、マルシェといえば犬です。ご主人の足元でお行儀良くしている、大型犬に小型犬、みんな、マルシェに活気を添える名脇役たちです。
一緒に写っている手書きの看板も、いい感じだと思いませんか?生産者直売の手作りフォアグラのスタンドです。
このお隣は、やはり生産者直売の牡蠣のスタンドで、看板に「Producteur(生産者)」と書いてありました。

この「Producteur」の看板が、直売スタンドの見分けかたなので、覚えておくと役に立つかも知れません。
もっとも実際に見てみれば、一目瞭然ともいえます。シェーヴルチーズを5種類だけとか、牡蠣を5種類だけ、瓶詰めのフォアグラだけ、といった専門的で小規模なスタンドは、見るからに生産者直売です。

花も、マルシェらしいイメージがありますよね。キャスター付きのキャリーバックに花を挿し、家路に急ぐマダムたちをよくマルシェ周辺で見かけます。
「花を買うのは、お金のゆとりではなくて心のゆとり」と、以前確か吉本ばななの小説の中で読みました。フィリージアなら、一束4ユーロ程度。本当に、心のゆとり次第です。

最後に立ち寄る1軒は、ここ、魚のスタンドです。ノルマンディーから毎週1回、ル・ヴェジネにやってくる魚屋さん。いつ見ても、サバはそのまま刺身でいただきたい新鮮さです。魚を陳列するレイアウトも、日本とはだいぶ趣が違いますよね。

1本釣りの天然ものの鯛と、同じく天然もののスズキを購入。内臓とウロコをとってもらいます。スズキのグリルはウロコつきのほうがおいしい、と聞いたことがあるので、スズキは内臓だけきれいにしてもらって……

これにぎらぎらと光る立派ないわしを5つつけて、しめて23,3ユーロです。

牡蠣と帆立貝も、ほら、こんなに新鮮!日本人にはたまりませんよね。

こういういい食材は、さっと生で、上等な白ワインとあわせていただくのが一番!!(個人的に今はシャブリの気分です)
フランス料理で魚、というと、すぐに舌平目を思い出すのですが、フランスに来てからまだ一度も買ったことがありません。いつも、丸ごとグリルできる尾頭付きばかりです。

オマールやアンコウは、年に1、2回ですが、奮発して購入することがあります。

日本と違って、スーパーで簡単に切り身の魚を買えるような環境はないものの、魚の種類と鮮度という点では、フランスはかなりのレベルにあると思われます。
横着に丸ごとグリルばかりでなく(もちろん、最高においしいですが)、シメサバやイカサシなどを作らないと、もったいない気がしてきました。

以上で、マルシェめぐり終了です。小さなバカンス気分を、楽しんでいただけましたか?

つい時間がたつのを忘れ、すでにもうお昼になってしまっていたら、焼きたてのピザを買って帰るのもいいでしょう。石のかまどを搭載した(!)トラックが、エクサンプロヴァンスのマルシェよろしく出店していることがあり、結構な人気者なのです。
今日のランチはこのピザと、ロゼワインできまりかな。
フランスを旅行されたら、そして滞在する街でマルシェに出会ったら、今度はご自身で実際に、スタンドの間を散策してみてください。

思いがけないお土産が見つかるかもしれません。
それに、その土地の住人になった気分を、ほんの少し、味わえるはずです。
人々の会話する声を聞き、活気を肌で感じるとき、ガイドブックにはない自分だけのフランスが、そこに見えてくることでしょう。

ル・ヴェジネ市のサイト
http://www.levesinet.fr/

ラ・モワヌリー
La Moinerie
http://www.les-financiers.fr/
フィナンシエ(400g 20~25個入り)8,80ユーロ~10ユーロ
トラディション、シトロン、オレンジ、チョコチップ、オレンジウォーター、ラムレーズン、バニラ、プラリネ、ピスタチオの10種類

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