春のマルシェ散策-前編
みずみずしいラディッシュ!
キッチンに春がみなぎるようです。先ほど、近所のマルシェ=朝市で買って来ました。
毎週2回、火曜日と土曜日に立つマルシェの日が、私の野菜調達日。生産者直売のスタンドに並ぶ野菜は、これ以上の贅沢はない!と実感するおいしさです。
春の訪れとともに野菜たちの顔ぶれが変わり、マルシェ全体の活気も勢いを増したという感じ。実際、暖かくなると、とたんに並ぶスタンドの数が増えるのです。
そんな春のマルシェは、ぶらりぶらりと歩いているだけで、ちょっとした非日常気分を味わえます。
せっかくですから皆さんもご一緒に、「春のマルシェ散策」に繰り出しましょう!
ここはパリの西側にある、ル・ヴェジネという郊外の街。高速地下鉄RERのA線に乗って、凱旋門から約20分のところにあります。
教会の広場に並ぶスタンドは、大小ざっと50件。ルヴェジネ市役所に問い合わせたところ、スタンドの数は冬の間は約40軒、夏になると約60軒に増えるとのことでした。
大胆に商品を広げたタピスリー屋さんを先頭に、洋服屋さん、そして……
アンティークドールとヴァイオリン、いつもは見かけないスタンドです。看板には「古いおもちゃ高価買い取り」とあります。ル・ヴェジネは高級住宅街なので、買い取り目的の出店でしょうか。
すぐお隣には、アンティークのメダルや時計、古銭を扱うスタンドが出ています。
一般的にマルシェはその規模に関係なく、食料品のスタンド以外にも下着屋さん、靴屋さん、化粧品屋さんといったスタンドがならぶもの。なので中にはこのアンティークドールのスタンドのように、誰が利用するのだろう?と思うような店もあるのです。
ご覧ください、ここが私のひいきの八百屋さん、ヴァレリーさんのスタンドです。野菜スタンドは他に何軒もありますが、一番行列の長い人気店はここ。珍しい古典野菜つくりにも力を入れている、個性的な農家です。

赤いラディッシュの右隣にあるのは、黒ラディッシュと根セロリ。左隣はアンディーヴです。日本ではチコリと呼ばれているようですね。
黒ラディッシュ、根セロリ、アンディーヴは、冬野菜の代表格です。
「春の野菜ならタンポポの葉が出ているし、もうすこししたらフェンネル(ウイキョウ)も並ぶわよ。でもまだちょっと寒いわね」
と、ヴァレリーさん。
このところ新鮮なハーブやサラダ菜の種類がぐっと増え、店先がにぎやかになったとはいえ、野菜スタンドが春一色になるのは、まだもう少し先のようです。
他の八百屋さんには、ホワイトアスパラガスも、フランボワーズも並んでいます。でも、それらはすべて輸入品。
マルシェの醍醐味は地産地消にあるので、わざわざここで買わなくても……と、つい思ってしまいます。
ヴァレリーさんのスタンドの前に、食器屋さんが店開きをしています。サラダボウルにオーブン皿、陶器、磁器、サイズも用途も様々な食器が並んでいます。

穴の開いたこのボウルは、なんとイチゴ用。これからの季節に、ちょうど欲しくなりますね。
「ブドウを入れてもいいし、さくらんぼを入れても」と、スタンドのご主人。水きり用の受け皿付きもあります。
この小さなカフェオレボウル、お茶碗にどうかしら?と、日本の甥を思い出しつつパチリ。
ワンポイントのモチーフは、船のロープや花輪など、色違いで数種類あります。1つ3ユーロとは、お値段もやさしいですね。
とぐろを巻いた黒い物体。これ、何かわかりますか?
豚の血の腸詰、ブダンです。見ただけでも十分たじろいでしまうのに、正体を知ってもういっぺん仰天させられます。
でもこのげてもの(失礼)が、夢のようにおいしいのです。じゃがいもかりんごで作ったピューレを付け合せにするのが一般的な食べかたで、その味覚の織り成すハーモニーと言ったら!
「フランスは本当に、豚肉文化の国だなあ」と、ただただ感心するはずです。豚の血が、美味な食べ物に変身しているのですから。
豚肉の加工品は、パテ、テリーヌ、ソーセージといった日本でも一般的なものから、アンドゥイエットという腸の腸詰や、グラトン・リヨネという脂身の揚げ物など、そのバラエティーを挙げだせばきりがありません。脂肪はラードになりますし、まったく、豚のすべてを余すことなく味わいつくしています。恐るべき情熱ですよね。
こちらのスタンドは、サラミやソーセージをずらりと吊るしています。
一口にソーセージと言っても、ご覧の通りの種類の豊富さ。そのひとつひとつが、違った味で、違ったおいしさですから、ワインとあわせていくらでも食べられます……と、地上の楽園をむやみに楽しんだ結果、私のコレステロール値は上昇し、現在はベジタリアン状態です。
なので普段の買い物は、ヴァレリーさんの店と、このパン屋さんで用が足ります。
種類の違いは、小麦粉の違い、酵母の違い、発酵時間の違いなど、いろいろ。雑穀入りやオリーブ入りなど、アレンジしたパンもありますね。
手前にある、1メートルほどの巨大なパンは、必要な分だけ切ってもらって購入します。いつも不思議に思うのですが、大きく焼いた昔ながらのパンは、日がたってもおいしさが長持ちするのはなぜでしょう。
レジをはさんだ向こう側には、パン・オ・ショコラやマドレーヌ、ケーキなどが並ぶので、そちらも非常に楽しげです。

前半は、ここまでです。
後編を待つ間、よろしければ、ソシエテ・ボンヌのパリ⇔東京往復書簡ブログをご覧ください。ル・ヴェジネのマルシェの様子を、タンポポの葉などの写真と一緒にお伝えしています。
http://societebon.exblog.jp




























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