JOUR DU MACARON 3月20日は「マカロンの日」
3月20日、フランスのカレンダーにはPrintemps (プランタン・春)と書いてあります。
厳しい冬で知られるパリも、3月に入ると日が長くなり、日差しもすっかり春らしくなるのですが、「いいえ、まだまだ。3月20日からが春よ」と、かたくなに主張するフランスの人々を、いつもほほえましく感じています。
日本のカレンダーを見ると、この日は「春分の日」で祭日です。フランスの春の訪れの日は、残念ながら祝祭日ではなく、特別な行事も行われません。
が、4年前からはJOUR DU MACARONジュール・デュ・マカロン=「マカロンの日」として、おいしく楽しく、また意義の深いイベントが繰り広げられています。
イニシアティブをとっているのは、パティシエのピエール・エルメさん。世界中を魅了するトップパティシエとして、日本でも大変な人気ですね。
3月20日の「マカロンの日」、4軒あるパリのピエール・エルメのブティックには、全35種類のマカロンが勢ぞろいします。普段は、マカロンは10種類だけで、他のケーキやアントルメが並ぶ店内も、この日だけはマカロン一色。ピエール・エルメのマカロンのフレーバーを一度に全種類楽しめるなんて、それだけでもわくわくしますが、さらになんと、この中から好きなフレーバーを3つ選び、無料でプレゼントしてもらえるのです。非常に寛大なイベントですよね。
(選んだマカロンはビニールの袋に入れ、ナプキンと一緒に手渡されます。写真にも写っているのですが……小さいですね)
と、ここまではご存知の方も多いことでしょう。
でも、「マカロンの日」が希少疾病にふす子供たちを支援している、という点はどうでしょう?この日、店内には募金箱が設置され、収益金は希少疾病財団 (Fédération des Maladies Orphelines) に寄付されます。
エルメさんの寛大な行為を前に、私たちも自分にできるアクションを考える。そんなきっかけになることを目指して2006年に始まったのが、この「マカロンの日」なのです。
希少疾病財団の創立者アンヌ・ビラベンさんは、こう語ります。
「不治の病をもって生まれた子供たちの人生は、悲惨以外のなにものでもありません。けれど、その現実を人々に知ってもらい、理解と協力を得るために、悲しい側面からだけのアプローチをとりたくはありませんでした。そんな思いからエルメ氏に協力を仰いだところ、快く対応してもらえたのです。」
今年4回目を迎え、イベントとして定着してきた感があります。
さて今年、エルメさんは去年11月にオープンしたピュブリシスドラッグストア店に来店し、サイン会を行いました。凱旋門のすぐ近くです。
集まったファンの顔ぶれは、女性、男性、若い人、年配の方、本当にさまざま。フランスのテレビ局も取材に来ています。
驚いたことに、サイン会を一番乗りで待っていたのは、若い男性でした。
「マカロンといえば、ピエール・エルメでしょう。フレーバーの組み合わせに、いつも発見があるところが面白い。たとえ好きな味ではなかったとしても、それは必ず、新しい体験になるんです」と、想いのほどを語ってくれました。
この日限定のマカロンボックス(35個入り)にもサインを。
35の文字は、35種類すべてが入っている、というしるし。
「ピエールは写真は嫌いよぉ」と、広報のフローランスさんは言っていましたが、ほら!こんなに気持ちよく応じてくれました。ファンの女性と一緒にぱちり。
ファンの皆さんの話を聞きながら、丁寧にサインをするエルメさん。本にサインをすると必ずページの間にナプキンを挟み、インクがうつらないようにしています。
この丁寧さが、パティシエとして成功するためには重要に思えます。
サイン中の対話の中で、ハンガリーから来たパティシエの男性(写真上)は、
「おいしいマカロンを作る秘訣は何ですか?」
と、具体的な質問をしていました。エルメさんのレシピ本を買って何度もトライしたものの、なかなかうまくいかないのだそうです。
「材料の質は言うまでもないですし、温度、テクスチャー、いろんな要素がすべて重要なんですよ」
と親切に教えていましたが……世界のトップパティシエは一日にして成らず、でしょう。
「マカロンの日」のシンボル、「マカロン・ルージュ」も忘れてはなりません。文字通り赤いマカロンで、フレーバーはその年によって変わります。変わらないのは、1個1ユーロで販売され、代金がそのまま募金になるというアイデア。
今年は、チョコレート&フォアグラのフレーバーでした。
写真の若い女性2人は、パティスリーを勉強中の学生さん。なんと授業でピエール・エルメについて勉強し、「マカロンの日」の活動を知ったのだそうです。本日実際に来店し、「マカロン・ルージュ」を購入していました。
「マカロンの日」の活動は、ルレ・デセール会員のパティシエたちにもサポートされ、今年は55名のパティシエが参加しているとのこと。ベルギーやスイスの会員パティシエの協力もあり、エルメさんをならったアクションが、国境を越えて広がっているのです。
昨年は50万ユーロの収益金をめざし、100人のパティシエが参加したそうです。今年の成果はどうでしょう。長く続けてゆくことが、何より大事という気がします。
日本のピエール・エルメのブティックでは、4月1日に「マカロンの日」が開催されますが、ボランティア活動とは無関係になるそうです。
それでも「マカロンの日」という言葉が、フランスでのこんな動きを伝えるきっかけになればと、エルメさんは願っているはず。そう思い、今回のレポートをしてみました。
ピエール・エルメ
www.pierreherme.com
ピュブリシスドラッグストア店 (無休・マカロンのみ)
Publicisdrugstore
133, avenue des Champs-Elysées
75008 Paris
ボナパルト店
72, rue Bonaparte
75006 Paris
ヴォジラー店
185, rue de Vaugirard
75015 Paris
カンボン店(チョコレートとマカロンの専門店)
4, rue Cambon
75001 Paris

























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